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子どもが持つべきICTリテラシーとは?


 ICTに関わる能力は様々なところで議論され、時々刻々と更新されていっています。

 

 「学びのイノベーション事業」(2014)では「ICTを活用した学習活動を行うことによる、児童生徒がICTを操作・活用するための能力」として、以下の項目を細分化して四三の観点で評価しています。

 項目は、a必須操作・b表現(文章)・c表現(図・絵)・d表現(表・グラフ)・i表現(静止画・動画)・f表現(発表用資料)・gファイル管理・h文部科学省の学習者用デジタル教材の活用・i情報収集・j協働学習ツールとなります。

 

 2018年には情報活用能力の要素を学力の三要素に沿って整理し、小〜高校まで発達の段階に沿って系統化した「情報活用能力の体系表例」が作成されています。これが現在、デジタルとアナログを含み、最も細かく能力を整理したものになります。ぜひこの「体系表例」を一度ご覧ください。(画像をクリックすると拡大します)

 海外の動向で注目すべきものに「デジタルシチズンシップ」があります。2017年に米国ワシントン州で制定された「デジタル・シティズンシップ法」では、それを「今日の情報技術の利用に対して適切かつ責任を持った健康的行為の規範」であり、「デジタルおよびメディア・リテラシー、倫理、エチケット、および安全性」、「メディアへのアクセス、分析、評価および解釈」を含むものであると定義しています。メディアリテラシーやSNSの活用など、受信・発信者として情報社会へ参加するという観点が含まれることが特徴として挙げられます。

 

教師が注意すべき指導ポイントは?

 

 まず心がけたいことは、第一に「教師も生徒も失敗を恐れずに積極的に使ってみる」という点です。やる前から完璧に操作を覚える必要はありません。覚えた頃にはバージョンアップして、変化します。これは生徒も同じで、デジタルネイティブにとって「完璧に教えこんでから」とか「使い方を逐一指示して」というような活用では、自由な発想や活用を阻害し、変化に適応できません。

 

 もう一つのポイントは、押さえるべきルールは明文化して最初に共有するということです。ある中学校では一人一台端末がスタートしたときに、次のようなルールを設定しました。

 「目的外使用・乗っ取り・画像の二次使用・盗用・剽窃」と、必要最低限のものに絞った「ブラックリスト方式」で、それ以外の活用については、生徒が自分の頭で考えることが求められる点が特徴です。「剽窃」や「なりすまし」は、ICTの世界では発見が難しく、問題が深刻化しやすいです。またSNSの利用では個人情報の流出や、無遠慮な言葉を気軽に発信してしまう危険性などもあります。そのようなICTの特性から生じやすいリスクについては、あらかじめ重大性や危険性を共有し、トラブルが起きた場合には確実に対処することが必要です。

 

 三点目には、必ず取り上げるICTリテラシーを学年で決めておくということが挙げられます。「情報活用能力の体系表例」などを参考に、中学1年の総合ではワープロでレポートの作成を、2年生ではプレゼンテーションソフトを使って発表をするなど、学年で取り組む内容を決めておきます。そうすれば、系統的に指導することができますし、それぞれの教科でも、同じスキルを活用してみようという教科横断の活用につながっていきます。

 

 第四に、ICTスキルは教師・生徒を交えどんどん共有していく点も大切なところです。総合などの学年全体の取り組みを通して、ICTに不得意な先生もフォローしながら巻き込んでいくことが肝要です。生徒も同じように、ICTが得意な生徒に教師が学び、また他の生徒にも積極的に広げていくようにするとよいです。例えば、活動の最初のステップではグループで取り組むようにし、ICTを助け合いながら活用すると、自然とスキルが共有されていくのでおすすめです。

参考文献
梅澤敦(2017)『平成28年度 プロジェクト研究調査研究報告書 

資質・能力を育成する教育課程の在り方に関する研究 報告書4 ICTリテラシーと資質・能力』

https://www.nier.go.jp/05_kenkyu_seika/pdf_seika/h28a/syocyu-1-4_a.pdf

文部科学省『学びのイノベーション事業実証研究報告書』https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shougai/030/toushin/1346504.htm

『(平成30年度)次世代の教育情報化推進事業「情報教育の推進等に関する調査研究」成果報告書
情報活用能力を育成するためのカリキュラム・マネジメントの在り方と授業デザインー平成30年度 情報教育推進校(IE-School)の取組よりー」

https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/09/18/1416859_01.pdf

坂本旬・今度珠美『日本におけるデジタル・シティズンシップ教育の可能性』

http://cdgakkai.ws.hosei.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2018/12/16-01-01.pdf

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