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学生さん相手に大学で模擬授業をする機会をいただきました。

備忘のために以下に講義ノートを書いておきます。

教育実習を控えた学生さん対象の授業です。

一斉授業の基本的な授業づくりを念頭に置いた講義内容としました。

【​国語科教育法】2016/12/05 早稲田大学

※​①②③などは生徒(学生)の学習活動、または質問

①国語の授業で学んだ、説明文・評論(非文学)の文章のなかで、印象に残っているものは?

 ・ウォーミングアップの質問。

 ・生徒がどんな教科書で読んできたか、国語への興味関心もこれでだいたいつかめる。

②説明文や評論を読むときに、どんな読み方を意識しているか?

 ・読むための方略をどの程度獲得しているか(教えられているか)、それを言語化できているか、レディネスを確認するための質問。

 ・明確に言語化できる生徒と、そうでない(センスに頼って読んでいる)生徒とがいるだろう。

 ・国語の授業では、このように無意識にしがちな読みの方略を、意識的に読んでいき、読むスキルを増やしたり、読む力をつけていくことをしていく。

 (読み方例)

 ・段落の区切りを意識している。(形式段落、意味段落)

 ・筆者の主張が最後にくる。(序論・本論・結論などの文章構成)

 ・指示語が指しているものを置き換えながら読む。

   ・問と答えの関係に注意して読む。

 ・事実と意見を区別しながら読み、筆者の主張を読み取る。

 ・最初の一文に大事なことが書かれていることが多い。

 ・具体例のあとに主張がくることが多い。

 ・何度も出てくる言葉や、筆者が特別な意味で使っていることばはキーワードになる。

 ・接続詞や文末表現、対比・類比の関係などに注意して論理的な関係をつかみながら読む。

 ・自分の既有知識や生活体験などと関連付けながら読む。

 ・筆者がどんな人かを念頭に置いて文章を理解する。

 ・文章の目的、メッセージを意識して読む。

  etc.

 ◯授業の導入段階では、このように既習の知識、方略を想起させ、これまで学んだことを、本単元の学習に活用していくようにさせる。

 ◯光村版中学国語教科書の巻末資料「説明的な文章を読むために」を参考にする。

④「ガイアの知性」を読む。

 ・題名読み(題名から想像できることを述べる→なぜこんな謎めいた題名にしたんだろう?)

  ※すでに読んでいる生徒がいるかもしれない。

 ・教師による範読

  黙読、生徒の音読どちらでも良いが、確実に全員に読ませたい場合は教師の音読が無難。

  初読では生徒は正しく音読できない可能性がある。

 ・全体的な授業の流れは、以前やった授業をほぼ踏襲したものとなっている。(リンク参考)

⑤「ガイアの知性」に星をつけるとすると?

 Amazonのようなサイトにこの本を紹介するとします。

 星をいくつ付けますか? ゼロ〜5つ星まで自分で判断して付けてみてください。

 その理由も言えるようにしましょう。

 (隣同士で交流→前後4人で交流→星5つの人と、星ゼロの人の意見を全体で聞いてみる)

 ・生徒の「直観」とか「印象」が出発点。これが読みを深めるきっかけになる。

 ・マクロ(全体)の読みとミクロ(細部)の読みとがある。全体と細部の往還を意識した授業づくりを心がける。

 ・生徒への質問は「質問内容+答え方」をセットにして伝える。

  例えば「この文章の印象はどうだった?」という質問だと、生徒が「印象」をどうやって答えたらよいかわからない。例えば「印象を100点満点で評価すると_」とか「読んだ印象を形容詞一語で答えてみて」などの「答え方」を伝えれば、生徒はそれにそって自分の読みを表出させることができる。

 (おうおうにしてある発問の失敗は、生徒が読めていても、その読みをどうやって伝えればよいか、こたえ方を教師がしっかりと明示していない場合が多い。生徒は読めても、それをどのように表現すればよいかわからなくて混乱してしまう)

 ・おそらく、高評価な生徒と、そうでない生徒に分かれるだろう。

  高評価の生徒は、筆者龍村さんの力強いメッセージ(主張)に共感する生徒。低評価の生徒は「なんかうさんくさいな」と評論の述べ方(論法)に疑問を感じている生徒だろう。

  読者はこのように評論を読むときには「主張」と「論法」との二つに注意して読んでいる。

⑥「ガイアの知性」の「龍村さんからのメッセージ」を要約する【主として「主張」の読み取り】

 まず、この文章の要旨(中心的な部分)を要約(短くまとめる)する。

 その際に、LibraryNAVI(リンク参照)を活用する。

 ※LibraryNAVIに書き換えるという言語活動を通して

  ・意味段落ごとに区切る学習

  ・意味段落ごとに見出しをつける学習

  ・適切な長さに要約する学習

 をすることができる。

 機械的な段落分け、見出しや要約の学習よりも、目的を持って創意工夫する活動にすることができるだろう。

⑦「龍村さんへのメッセージ」を考える【主として「論法」の読み取り】

・龍村さんのこのメッセージを、さらによりよくしていくにはどうすればいいか考える。

この文章にツッコミを入れるつもりで文章に書き込みをしていく。
 ◯龍村さんの主張についての疑問、反論(ひねくれた生徒が活躍しそう??)
 ◯文章表現について(ここが甘い、とか、ここをもう少し詳しく、とか)
 ◯研究方法について(ここのデータがとれると良い、など)

 

(たとえばこんな視点で) 
 筆者が説得力を上げるためには書く必要があるけれども書いていないこと、不足している記述
 筆者があえて避けている議論、取り上げていない事実、隠された本音
 筆者への質問、反論、アドバイス
 筆者の気づきを確かなものにするために、今後どんな研究が必要か

 

・「三角ロジック」などの、論理関係をまとめる図で視覚的に表現したり、

・下記の資料(「だめな科学を見分けるための大まかな指針」を参考に。

 日本語訳のサイトに掲載されているものより使用。

​ 原文(英語)のサイトはこちら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・これらを小グループでディスカッションして意見を膨らませていく

 (時間があれば、オルカ、イルカ、象のぞれぞれの事例について考えさせる)

・グループで話し合った意見を発表し、共有する。


・授業を通して考えたことを「龍村さんへのメッセージ」としてまとめる。
  ・文章を読んだ印象、感想 
  ・龍村さんへのメッセージやアドバイス(意見など) などを文章に入れ込む。

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